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店を出て、歩いてすぐ側にある改札にICカードをかざす。電車を待つ間何気なくスマホをチェックすると、中学時代の友達から久しぶりにメッセージが来てることに気づいた。
数人いた友達の中でも、特に仲のよかった五木小夜、通称いっちゃん。
今でも、休みが会えば二人で遊びに行ったりしてるくらいの仲よし。
昔から正義感の強かった私に何かと苦言を呈しながらも、ずっと側にいてくれた大好きな友達だ。
いっちゃんは私と違って、空気の読める人気者。
私が誰からもいじめられなかったのは、いっちゃんのおかげも大いにあると思ってる。
メッセージを開けば、それは同窓会への誘い。よく目を通す前に、ちょうどいいタイミングでいっちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし周?もう仕事終わった?」
「うん、今終わったとこ」
「お疲れ」
「いっちゃんも」
いっちゃんは、歯科助手だ。彼女の勤める歯科医院には行ったことないけど、きっとあの清潔感ある制服が似合ってるだろうなぁ。
「メッセージ、見た?」
「まだちゃんとは見てない」
「同窓会って大袈裟なもんでもないんだけど、中三の時のクラスで再来週集まろうかって話が出てさ。周、来るよね?」
「シフトによるけど、途中参加でもいいなら行きたいかな」
「よし決まり。まぁ、直前でもいいから都合悪くなったら言ってよ」
「うん、ありがといっちゃん」
「また詳しいこと決まったらメッセージ送るわ」
「幹事頑張れ」
「サンキュー」
電話を切ってすぐ、丁度来た電車に乗り込む。
窓際に立って車窓を眺めながら、色んなことをぼんやり考えた。
同窓会かぁ。
ちょっと、楽しみだな。
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