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ーー
「周、久しぶりー!」
「梶田っち久しぶり!成人式以来だよね?」
「あ、周だー!」
「ミカ!元気してた?」
いっちゃんはそんな大げさな集まりじゃないって言ってたけど、来てみたら結構な人数がいてビックリした。
多分、十五、六人はいるよね?さすが、いっちゃん。顔が広い。
仕事だったから開始より二十分くらい遅れていったけど、すぐ女子達が声をかけてくれた。
「ねぇ周来たからさぁ、もいっかい乾杯しよーよ!」
いっちゃんが、そう言って音頭を取ってくれる。
「じゃあはい、かんぱーい!」
「乾杯っ!」
それぞれが、元気な声でグラスを上に掲げた。
「でさぁ、そこからはもう修羅場よ!大体、同棲してる部屋に女連れ込むとか頭おかしくない!?」
「その男最低!ミカの気持ち何だと思ってるんだろ」
「でしょ!?周もそう思うよね!?」
「うん、思う思う!」
「わぁーん、あまねぇ!」
「ミカぁ!辛かったねぇ!」
時間が経って、みんな思い思いに喋ってる。私に抱きついて元カレの話を泣きながら話すミカに、私は頷きながら彼女の背中をさすった。
「ちょっと顔赤いよ?お水飲も?すいませーん、お冷ください」
「かしこまりましたー!」
「ミカ、目真っ赤。私ハンカチ濡らしてくるから、ちょっと待ってて」
「あまねぇ!周こそ私の王子様だよぉ!」
「アハハ、ありがと」
私達が今いるのは、座敷席。土間で靴を履こうとしたら、バランスを崩して重心が後ろに傾いてしまった。
トン、と誰かの背中にぶつかる。
「わ、ごめんっ」
咄嗟に体制を立て直して謝りながら振り返る。
「…いや。別に」
あ、浦和君だ。
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