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同窓会は予想以上に盛り上がって、明日が土曜ってこともありみんなそのまま二次会のカラオケに行く流れになった。
「周、マジで行かないの?」
いっちゃんが、私と一緒にミカを支えながら案じるような声でそう口にする。
「うん。ミカこのままにできないし、今日は私の家に泊まってもらうよ」
「周も明日休みなんだっけ?」
「そうそう。だからちょうどよかった」
「私も一緒に行けたらいいんだけど、ごめん」
「何言ってんの、いっちゃん幹事でしょ?私より何倍も大変じゃん。私こそ、手伝えなくてごめんね」
「周こそ何言ってんのよ!」
いっちゃんは笑いながら私の肩を叩く。
「ねぇ,いっちゃーん!カラオケの場所なんだけどさぁー」
向こうでいっちゃんを呼ぶ声が聞こえた。
「いっちゃん、呼んでるよ」
「でも」
「もうすぐタクシー来るから、こっちは大丈夫」
「ごめんね周」
「だから、謝らなくていいってば」
パン、と両手を合わせるいっちゃんに笑顔を向けて、彼女の去っていく方向に手を振った。
「うぅ…ん……」
植え込みの端っこに座ってタクシーを待っていると、寝ていたミカが身じろぎした。
「ミカ、大丈夫?」
「んー、あまねぇ」
「気持ち悪くない?もうすぐタクシー来るからね?」
「周ぇ、ごめんねぇ」
「アハハ、大丈夫」
ふいに、私の肩にもたれかかっていたミカの体がバランスを崩した。
「わ…っ」
急のことだったから、支えきれない。
どうしよ、倒れる…っ!
ガシッ
体が地面に打ち付けられるより前に、誰かの大きな手の平がしっかりと私の肩を掴む。
「あ、ご、ごめ」
パッと上を向くと、冷たい瞳と視線がかち合った。
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