1159人が本棚に入れています
本棚に追加
「もしもし、いっちゃん?」
仕事が終わってスマホを見ると、いっちゃんからの着信。かけ直すと、彼女はすぐに出てくれた。
「あ、周?」
「どしたの?」
「あのさ、この間同窓会した男子達の何人かが、ウチらとまた集まりたいらしくて」
「ウチら?」
「周とか、私とか、あとはミカとか」
「ふぅん?そうなんだ」
「浦和君も、いるらしいけど」
「…」
「周はやめとく?」
いつも明るいいっちゃんの、気遣うような声色。彼女は私が昔、浦和君のことを苦手だったって思ってる。
「ごめん、今こんなこと言うのも何かあれなんだけどさ」
「うん?」
「浦和が、周に会いたいって言ったらしいんだよね」
「浦和君が」
「周…」
ギュッと目を瞑って、それからゆっくりと開く。
「ごめんいっちゃん、私やめとく」
「…そっか」
「断り役なんてさせてごめんね。私抜きで、楽しんできて」
「何謝ってんの、周は悪くないじゃん」
いつもの明るい声に戻してくれたいっちゃんのおかげで、いくらか気分が落ち着いた。
いっちゃんとの電話が終わって、しばらく動く気になれなくて。
また、ゆっくり目を閉じる。
ーーもう、来るな
私達はきっともう、会わない方がいいんだ。
最初のコメントを投稿しよう!