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食べ終えた後も少しお喋りをして、それから私達はハンバーガーショップを出た。
一日を終えるには、まだまだ早い時間だ。
「ご馳走様でした」
「そんな、お礼言ってもらえるようなものじゃないよ」
「そんなことありません。凄く楽しい時間でした」
ペコリと頭を下げれば、嬉しそうにニッコリと笑ってくれた。
「バイバイは惜しいけど、さすがに中川さんの時間これ以上もらえないからね」
「それは私のセリフですよ」
「まぁ、そういうことにしておきましょう」
「フフッ」
「じゃあ、またお店行くね」
聞く人が聞けば、ちょっと勘違いされそうな言い方だな…あえて突っ込まないけど。
「ありがとうございました、失礼します」
最後にもう一度挨拶をして歩き出そうとした時
、キキーッというけたたましいブレーキ音のようなものが鳴り響いて、直後にドカン!という轟音が鳴り響いて。
私は思わず立ち止まった。
「キャーッ!!」
「何なに、えっ、嘘!!」
「うわ、やば!!」
行き交う人々もみんな足を止めて、音がした方向に視線を向けてる。
これ、事故だ。
交通事故だ!!
「神宮さんっ!!」
「うん、分かってる」
心臓が痛いくらいに音を立てる。隣に立つ彼の名前を呼びながら見上げれば、さっきまでとはガラッと表情が変わっていた。
神宮さんが睨みつけている方向には、音の正体がある。
その体は、もう半分以上そっちへ走り出そうとしていた。
「危ないから、中川さんは近付かないで。すぐに警察に連絡してほしい。もう誰かがしてたとしても構わないから」
「分かりました!なるべく詳細を伝えます!」
「ありがとう」
安心させるみたいに私の肩をポンと叩いて、そのまま事故現場の方向へと飛び出していった。
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