act.2

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救急センターで治療を受けて、そのまま家路に着いた。軽い捻挫で、歩けないほどじゃなかった。 だけど何となく浦和君の顔が浮かんできて、大人しくタクシーを使った。 「中川さん、大丈夫なの!?」 寺田店長からの着信に出ると、開口一番焦ったような大きな声が聞こえてきた。 「えっ!」 「今神宮さんから店に連絡があってね!中川さんの連作先知らないから、無事かどうか確認してくれないかって」 「あ…っ」 瞬間、顔からサーッと血の気が引いていく。あっという間の出来事で神宮さんに声をかけられなかったこと、今思い出した。 「彼、凄く心配してたよ。ほったらかしにして、申し訳なかったって謝ってた」 「そんな…」 「大体の事情は聞いたけど、やっぱり中川さん飛び出していっちゃったんでしょ?」 「…はい、その通りです。危ないからって神宮さんに止められたのに、私言うこと聞かないで…」 だんだん、声が小さくなっていく。神宮さんは警察や消防が来るまで、率先して指揮をとってた。 神宮さんがいたから、騒然としてたあの場が纏まってたと思う。 やっぱり、凄い人だ。 「神宮さん、中川さんが救急車で運ばれてるのを見たって言ってたけど、ホントに大丈夫なの?」 「念のため乗った方がいいって言われて乗せてもらったんですけど、ただの軽い捻挫だけです。本当に何ともありません」 「気が気じゃなさそうだったから、連絡した方がいいかもしれない。番号聞いておいたから」 「すいません、ご迷惑をかけて」 「せっかくの休みに大変な思いしたね。僕は、中川さんのそういうところ、凄いって思ってるよ。でも、一番は自分を大切にしてね?」 「ありがとう、ございます」 親が子供に諭すみたいな、優しい言い方。さっきまで緊張してたのもあって、思わず泣きそうになってしまった。
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