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「申し訳ありませんお客様。店内が狭いので、ご迷惑をおかけいたしました」
「そういうことじゃなくてさぁ、あの女逮捕しろよ逮捕」
「警察を呼ぶ、ということでしょうか?」
「そうだよ、早くしろよ使えねぇな!」
舐められないように、大きく見えるように、しっかりと背筋を伸ばした。
警察呼んでくれなんて、こっちにメリットしかないんですけど。
連れて行かれるのどっちか、分かってないの?
「分かりました。警察に連絡しますので、しばらく中の事務所でお待ちいただけますか?」
「あ、あの…っ」
不安そうに声を上げる女性に、私は男性を刺激しないよう小声で話しかけた。
「心配なさらないでください。このまま警察を呼びましょう。お子様もいらっしゃるのに、お時間を取らせてしまい申し訳ありません」
「それは大丈夫なんですが…」
「このまま店外へ出てしまうと、追いかけられる可能性もあります。人の目がある方が安心です」
そう言うと、女性はようやく少しだけ安心したような表情を浮かべてくれた。
ちょっとベビーカーがぶつかっただけだろうに、可哀想。
万が一でも何かされないように、私がしっかり見張っておかないと。
「何こそこそ話してんだよ!舐めてんのか、あぁ!?」
「申し訳ありません。どうぞ、あちらへお願いいたします」
「チッ、女のくせに生意気なんだよ!」
酔っ払いって、ほんっと恥ずかしい。
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