act.1

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「申し訳ありませんお客様。店内が狭いので、ご迷惑をおかけいたしました」 「そういうことじゃなくてさぁ、あの女逮捕しろよ逮捕」 「警察を呼ぶ、ということでしょうか?」 「そうだよ、早くしろよ使えねぇな!」 舐められないように、大きく見えるように、しっかりと背筋を伸ばした。 警察呼んでくれなんて、こっちにメリットしかないんですけど。 連れて行かれるのどっちか、分かってないの? 「分かりました。警察に連絡しますので、しばらく中の事務所でお待ちいただけますか?」 「あ、あの…っ」 不安そうに声を上げる女性に、私は男性を刺激しないよう小声で話しかけた。 「心配なさらないでください。このまま警察を呼びましょう。お子様もいらっしゃるのに、お時間を取らせてしまい申し訳ありません」 「それは大丈夫なんですが…」 「このまま店外へ出てしまうと、追いかけられる可能性もあります。人の目がある方が安心です」 そう言うと、女性はようやく少しだけ安心したような表情を浮かべてくれた。 ちょっとベビーカーがぶつかっただけだろうに、可哀想。 万が一でも何かされないように、私がしっかり見張っておかないと。 「何こそこそ話してんだよ!舐めてんのか、あぁ!?」 「申し訳ありません。どうぞ、あちらへお願いいたします」 「チッ、女のくせに生意気なんだよ!」 酔っ払いって、ほんっと恥ずかしい。
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