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神宮さんは、このすぐ側にある交番のお巡りさんだ。配属されて、多分二年くらい?この辺りのことは私の方が先輩だから色々教えてとか言って、最初の頃はしょっちゅう顔出してたっけ。
今さらだけど、神宮さんって何歳くらいなんだろう。私より年上なのは確かだから、二十六とか七とかなのかな。
長身で細身かと思いきや、夏の制服とかだと腕とか結構逞しいし、爽やかな雰囲気で話しかけやすくて、凄く素敵な警察官って感じだと思う。
ちょっとだけ、変な人だけど。
「もー、何で中川さんはいつもそうなのかな。寺田店長の心労も絶えないだろうね。あんまり心配かけちゃ、だめだよ」
「私はただ、職務を全うしてるだけです!」
店長の心労って、優しすぎるからこういう時は私が前に出てるんじゃないか。
「正義感の塊だよねぇ。中川さんって」
「もう何回も言われましたよ、それ」
「勇気があるのはいいことだけど、自分が女の子だってもうちょーっと自覚してほしいな?」
「…すいません」
この爽やかな笑顔がキュンキュンするってバイトの女の子やパートのおばちゃんは言うけど、私にはいつも若干怖く見える。気のせい?
「君に何かあったら、俺死んじゃうかも」
「神宮さんや警察の方の手を煩わせないよう、一層気を引き締めますから」
私がこの店で怪我したり死んだりしたら、仕事増やしちゃうしね。
「うーん。そういうことじゃないんだけどなぁ」
まだブツブツ言ってる神宮さんに軽く会釈をして、私は通常業務に戻った。
ふぅ。ちょっと疲れたけど、あの親子に何もなくてホントによかった。
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