act.1

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ーーお節介、余計なお世話、過度な正義感、勘違い女 この類の言葉は、嫌ってほどに言われてきた。 自分でも、分かってるつもりだけど。 どうしても、止められないんだ。 理由きっと、両親の影響。それも特に、父親の方の。 私の両親は、どっちも警察官だ。母は警務課、父は機動隊で、二人とも仕事に誇りを持って毎日取り組んでいて。 その姿が、小さい頃からホントにキラキラ眩しくて、私も将来は警察官になるんだって希望に満ち溢れていた。 だけど私が小学四年生の頃に、父が災害救助応援に出動している際、命を落としてしまった。 四年生はまだまだ子供で、私はなかなか父の死を受け入れられなかった。 学校にも行かなくなって、部屋に閉じこもったまま。あの逞しくて力強い笑顔を思い出しては、枕を抱き締めてひたすら泣いた。 そんな私を、母は優しく抱き締めるだけでずっと何も言わなかったけど。 ある日私の部屋に来て、仕事中の父の色んな話をしてくれた。 人一倍正義感が強くて、仕事に誇りを持ってて、出世よりも現場で最前線に出ることを望む、人望の厚い素晴らしい人だったって。 きっと、天国で私達のことを見てくれてるから、心は側にいるから、だから大丈夫。 あなたは、お父さんにそっくりなんだから。 そう言って、私と一緒に泣いてくれた。 それから私は、メソメソ泣くのをやめたんだ。 立派に人を守って死んだ父に、恥じない人間になろうって。 そう言ったら、母は少しだけ寂しそうに笑っていたけど。
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