act.1

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それ以降私は、困っている人がいたら手を差し伸べたり、誰も見ていなくても悪い誘いには乗らないし、クラスでイジメや嫌がらせが起これば率先して解決しようと動いた。 口だけの人にならないように勉強だって凄く頑張ったし、剣道教室にも高校を卒業するまで通った。 途中からはもう、半ば体が勝手にって感じだ。 先生や友達、近所の人達から感謝されたり、頼りになるって言われたりしたけど。 それ以上に、疎まれることも多かったんじゃないかと思う。 まぁ、時々自分の行動を振り返っては「あれは、確かにウザかったよなぁ」って思わないこともないから、その気持ちもよく分かる。 正義は決して、完璧じゃないから。 私の正義が正しいって、人に押しつける気なんてない。 私はただ私のために、自分が正しいと思うことを行動に移すだけだ。 それが間違っているなんて、今は思いたくない。 「お疲れ様でした」 閉店作業を終え、店長とバイトの子に挨拶する。 「今日は悪かったね」 寺田店長が申し訳なさそうな顔で私に謝るから、私はブンブン首を横に振った。 「私の方こそ、いつも後先考えずに飛び出してしまってすいません。神宮さんにも、寺田店長にあまり心配かけないようにって言われました」 「いやぁ、僕が頼りないのが悪いんだよ。いつもありがとうね、中川さん」 何だかんだ言っても、こんな風に優しい店長のことが私は好きだ。 確かに頼りないとこもあるけどいい人だし、神宮さんの言う通り私ももう少し気をつけないとなぁ。 「それにしても神宮さんは、いつも中川さんに厳しいね」 「店長もそう思います?実は私もずっとそう思ってたんです。他の人には優しいのに、私には妙に意地悪っていうか」 「きっと、心配の裏返しなんだろうけどね」 「さぁ、どうでしょう?」 警察官でもないくせに、無駄に正義感振りかざしてるのが、気に食わないとか? いやでも、あの人多分いい人ではあるんだろうしなぁ。 「まぁ、何はともあれ今日は本当にお疲れ様」 「はい、お疲れ様でした」
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