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「ねえ、蓮見君さ、あの人彼女?」  休み時間。今日もひとりでの発表のために資料を確認していると、声が降ってきて、見ると橋本その他の女子が好奇心を顔いっぱいに塗りたくったような表情を浮かべていた。 「あの人って?」  聞かなくても分かることを資料に目を落として言うと 「最近、よく図書館とか学食で一緒に居るじゃん。上級生っぽい人」 ざわりと胸の中が波立ったのは、自分のことはどうでもいいが、あの人のことまで下衆な暇潰しの材料にされたのが神経に触ったからだろう。 「蓮見君、年上好き?」  耳障りな笑い声を聞くと、逆に妙に冷静になった。  僕は口元にだけ笑いを浮かべて言った。 「授業に関することは何でも本から書き写すだけなのに、そういうことには随分想像力が働くんだね?」  長机に手をついてひとの顔を覗き込んでいた女子たちの薄ら笑いがさあっと消えて、踵を返していく。  よくあんなのと居るよね、と呟く声が聞こえた。  それは僕も否定しない。  
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