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「俺だってそうだよ。あの時色んなことに気づいた。……でも、お互い変わったつもりでいたけど、変わってない部分も多いのかもしれないな。5年経ってもさ」
「そうかもしれませんね。結局、子供のままなのかも」
しんみりと言った結衣子に俺も同じように思った。人はそんなに簡単に変われるようなものでもない。
「でも、それでもいいよな。人生長いんだし、日々修行ってことで。まぁ、結衣子は5年前よりだいぶ変わったけど。前みたいに子供の結衣子も好きだよ。今はもっと好きだ。全部大好きだよ」
どんな結衣子でも共に生きていく。静かに2人で。もう離れない。そんな気持ちを込めて見つめた。
「……庵さん。……私もどんな庵さんでも、大好きです」
潤んだ瞳の結衣子。チャペルに移動をして2人だけの結婚式が始まった。
心を込めて「誓います」と宣誓し、結衣子が早くお揃いで着けたいと心待ちにしていた指輪を交換する。そして愛をたっぷり込めて誓いのキスを交わした。キスを終えると涙を流す結衣子をそっと抱きしめる。
全てが5年前と違う本物の結婚式。心の底から満足した。どこかがふわっと軽くなり、何かからようやく解放された気がする。
『これで結衣子のことを幸せにしてやれた』
そんな気持ちに浸っていた。
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