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 幸せだった。全部。それでも幸せなことがある度に不安も生まれた。  彼と2回目の行為をした時、最初の時よりは痛くなかったけど、それでも痛かった。気を使ってくれているのは経験が浅い私でも何となく分かる。  ゆっくり動いていた彼が徐々に早くなると、辛そうに眉をひそめ止まるのだ。そして自分を落ち着けるように「はぁ」と小さく息を吐いて、またゆっくり動き出す。  もっと激しく動きたいんだろうな。あの時見た映像は音が鳴るほど激しかったし。  彼に聞いても「いずれ、な。今はこれでいい」と答えるだけ。 「……ごめんなさい」  私が慣れないせいで彼に我慢をさせている。それなのに……。 「謝るな。いいんだよ、これで」  優しく抱きしめてたくさんキスをしてくれた。  忙しい3月末や4月上旬も過ぎて迎えた結婚式。彼と2人だけで厳かに愛を誓い、お揃いの指輪を交換した。ようやくまた私の薬指に戻ってきてくれた結婚指輪。そして誓いのキスは愛情をたっぷり込めて丁寧に唇を合わせてくれる。  嬉しい。あの時……5年前はしてくれなかったキス。  涙がポロポロと溢れた。フッと小さく笑い優しく抱きしめてくれる彼。とても、とても幸せだ。  まるで夢のよう……。
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