1911人が本棚に入れています
本棚に追加
/249ページ
思えばその時から少しずつ影が落ち始めていたのかもしれない。
「仕事も落ち着いてる時期だし」という上司の言葉に甘え結婚式前日と当日、さらにその翌日、3日も有給を取っていた。
「あ、仁志さん。おめでとうございます」
休み明け、出社するとさっそく総務のみんなからお祝いの言葉を掛けてもらった。
「おはようございます。たくさんお休み頂いてすみません。ありがとうございます」
「2回目の結婚式、どうでした?」
堤さんは意地悪くニヤッとそんな事を言ってきたけど「1回目とは全然違いますから。幸せでしたよ」とサラッと返す。
「それはよかったですね。おめでとうございます」
本心なのかどうなのかわからないけど、お祝いの言葉は掛けてくれた。
「仁志さん、結婚おめでとう。お祝いは改めてロンドンに行った時にさせてもらえるかな?」
「ありがとうございます。ゴールデンウィークまであと少しですね」
「そうだね。楽しみにしてるんだ。私、イギリスって行ったことないから」
四条さんとお互いニコニコ盛り上がる。
それからも幸せな毎日は続いていた。家に帰れば「ただいま」とお揃いの指輪をした彼が笑みを浮かべて帰ってくる。2人で夜ご飯を食べて、一緒にベッドに入り「おやすみのキス」をしてくれて……。
最初のコメントを投稿しよう!