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 彼が日本に帰ってきてくれたなんて……。夢なんじゃないか、と昨日から何度も思っていた。それでも家を出るとすぐに真冬の冷たい風に吹かれ現実に引き戻される。  うぅ、寒い。まだ陽も落ちてないのに……。  夕方というにはまだ少し早い時間。時折ビューと吹く強い風に凍えながらも駅まで歩く。電車に乗るとモワモワと暖かくて、またぼんやりと夢なんじゃないかという感じもしてきた。 《着いたよ。ツリーの前で待ってる。急がなくていいから》  もうすぐ駅に着くというタイミングで届いた彼からのメッセージでまた現実に引き戻される。昨日からこの調子で忙しない。  ツリーの前……。  遠くからでもはっきりと見える大きなクリスマスツリーを視界に捉えた。金色や赤色のツヤツヤした丸い球が飾り付けられていて、ところどころキラキラとクリスタルのようなものまで揺れている。  うわー、綺麗。……あ、いた。  スマホを片手にただ立っているだけなのに、どうしてあんなに様になるのだろうか。黒いコートを着たモデルのような彼は、やはり目を惹くようで、少し離れた場所に立つ女性グループが何かを話しながらチラチラと視線を向けていた。
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