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空と大地 3日目
三日目
「おはようございます」
不意に降って来た声を見上げて、彼は大地に背を付けたままの体制でニコリと笑った。
「おはようございます」
「お隣 空いてますか?」
「見渡せる限りはね」
言ってクスクスと笑う。
「… どこかで会いました?」
彼の問いに私は いいえ、と首を降った。
「そっか‥」
指でいじったクローバー。天に掲げてクルクルと回してる。
「クローバーですか?」
「三つ葉だけどね」
「好きなんですか?」
「忘れちゃったんだ。…だけどね、胸ン中で引っかかってる」
「クローバーがですか?」
「そうみたい」
私は何だか嬉しくなって、お尻を叩きながら立ち上がった。一歩 前進。
「また明日 クローバーさん」
不思議そうに見送る彼の瞳にもう一度。
「空は大地に恋をしたそうです。その恵みを受けて、草木は育つの」
「素敵だね」
「うん!」
彼の胸に どうか草木が芽吹きますように‥
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