犬は骨が好き あるいは、心優しき王女の物語

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〜ややブラックですが、犬は無傷です〜 1 「お母様、ダニエルが犬を飼いたいって言うんですの。うちにはそんな余裕はないでしょう?いったい誰が、毎日毎日餌をあげてお散歩させるって言うの?私には無理ですし、ジョン(夫であり、お母様の息子)も手一杯ですわ」  つまりは、孫のダニエルが犬を飼うのをあきらめさせてくれ、と言うことだ。  祖母は、しかたなく孫の部屋を訪れた。 「ダニー、犬が欲しいのかい?」  ダニエル坊やは目を輝かせてうなずいた。 「だって、みんな犬を飼ってる。ブッカーにピーター、トリンドルだって」 「トリンドル?」  ダニエルのほっぺたが少し赤くなった。 「トリンドルはプチ・バセット・グリフォン・バンデーンを飼ってるんだ!」 「ややこしいガールフレンドがいたもんだね」 「おばあちゃんは、ぼくの味方だよね?ぼく、ちゃんと世話できるよ!だから、パパとママを説得してよ!」 「犬を飼うってのは、最後まで重い責任を負うことになるんだよ」  祖母はベッドに腰掛けると、ゆっくりと話しはじめた。
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