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「あるところに・・・」
「あるところって?」
「リヒテンシュタインさ」
「あ〜・・・」
ダニエルは、もう口をはさまないことにした。
祖母は話を続けた。
昔々、あるところに王女様がおられた。王女様はたいそうかわいらしく、とっても心優しい女の子だった。動物がお好きで、宮殿にはたくさんの犬や猫やオウムがいた。広い庭には美しい孔雀がいたし、ポニーにも好きな時に乗れた。
ある日、王様と大臣が執務室で話しているのを、王女様はぬいぐるみで遊びながら聞いていた。
「国王陛下、保護犬の施設がそろそろ満杯になりますが」
「そうか」
「では、処分を」
「よきにはからえ」
それを聞いた王女様は、飛び上がった。
「お父様!!!今なんておっしゃいましたの?」
「飼い主に捨てられた犬の処分をするのじゃよ」
「なんてことを!罪もない哀れな犬たちを殺すつもりなの?」
王女様の剣幕に、大臣は冷や汗びっしょりで、しどろもどろ。
「い・・・いえ、姫様・・・もちろんそのようなことは・・・ただ、施設がいっぱいになったというご報告に参りましただけで・・・」
「お父様ぁっ!」
王女様は父王をにらみつけ、王は大臣に命じた。
「明後日までに、犬を捨てた飼い主を探し出して、捨てられた犬と共に中庭に集めるのじゃ!」
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