犬は骨が好き あるいは、心優しき王女の物語

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2 「あるところに・・・」 「あるところって?」 「リヒテンシュタインさ」 「あ〜・・・」  ダニエルは、もう口をはさまないことにした。  祖母は話を続けた。  昔々、あるところに王女様(プリンセス)がおられた。王女様はたいそうかわいらしく、とっても心優しい女の子だった。動物がお好きで、宮殿にはたくさんの犬や猫やオウムがいた。広い庭には美しい孔雀がいたし、ポニーにも好きな時に乗れた。  ある日、王様と大臣が執務室で話しているのを、王女様はぬいぐるみで遊びながら聞いていた。 「国王陛下、保護犬の施設がそろそろ満杯になりますが」 「そうか」 「では、処分を」 「よきにはからえ」  それを聞いた王女様は、飛び上がった。 「お父様!!!今なんておっしゃいましたの?」 「飼い主に捨てられた犬の処分をするのじゃよ」 「なんてことを!罪もない哀れな犬たちを殺すつもりなの?」  王女様の剣幕に、大臣は冷や汗びっしょりで、しどろもどろ。 「い・・・いえ、姫様・・・もちろんそのようなことは・・・ただ、施設がいっぱいになったというご報告に参りましただけで・・・」 「お父様ぁっ!」  王女様は父王をにらみつけ、王は大臣に命じた。 「明後日までに、犬を捨てた飼い主を探し出して、捨てられた犬と共に中庭に集めるのじゃ!」
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