純白を纏う

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目を開けた。人の気配がする。あれからどれくらいの時間が経ったのかスマホで時間を確認すれば授業1コマ分の時間が過ぎていた。 相変わらず静かな室内に響く秒針の音に混じって少し乱れた苦しそうな呼吸音が聞こえた。思わずカーテンを開けてその人物を見る。そこに居た男子生徒は苦しそうに呼吸を乱し、机に突っ伏して強張る身体に腕には強く力が入っていた。 痛々しいその姿に心臓がギュッと潰されるように痛んだ。そっと、怖がらせないように男子生徒に近づく。目の前で止まればより近くにその痛々しい姿を感じて苦しくなった。 気づけば男子生徒の目線に合うようにしゃがみ込んでいた。 「大丈夫、落ち着いて」 口から出た声色は、信じられないほど優しく穏やかだった。その言葉に緩んだ腕を見てホッと安心する。恐る恐る顔を上げようとする姿を見て、思わず小さく息を呑んだ。
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