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「そんなこと言わないで、がんばってみよう。ね？」
「でも、授業料だって高いじゃん。私立になる可能性が高いんだから、そんなに迷惑かけられないよ」
「お金のことは気にしなくていいの。お母さんもがんばるから」
「いいって。勉強なら家でだってできるんだし」
塾に通うのが嫌なんじゃない。集団コースに入れないことだって、そんなに気にしない。
だけど、なんとなく違うと思った。
「……それなら、まずは一度、体験で授業を受けてみませんか？」
「よろしいんですか？」
お母さんはすがるような顔ですぐに反応した。今のお母さんはどんな気持ちなんだろう。
「もちろんです。それで塾の様子を知ってもらって、それで改めて、今後のことを決められたらいいと思います」
「志保、それならいいでしょ？」
「……うん」
ここで意地を張るほど、私はバカじゃなかったらしい。
私がうなずくと、お母さんはとても安心したような顔になって、正式に体験授業を依頼した。
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