3月28日(土)・志保

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3月28日(土)・志保

「もうすぐいらっしゃると思いますよ」 「先生、驚くかな?」 「私たちだって、わからなかったりして」 「本当に。すっかり大人になって」 「あっ、来た!」  私たちは今、新しい制服に身を包んで、さくらばに遊びに来ている。  今日から春期講習が始まったようで、昼間から先生は授業に入っていた。  忙しいときに来ちゃったね。 「先生!」  授業を終えて二階から降りてきた先生に、梓が声をかける。  私はその後ろをついていくだけだった。 「え? あれ、二人とも、どうしたの?」  先生は驚いたのと同時に、すごく嬉しそうな顔を見せてくれた。  ほら、やっぱり喜ぶじゃん。 「どう? 私たちも女子高生になったんだよ」  そう言って梓は決めポーズみたいなものを作ったけど、私はただ立っていることしかできなかった。  高校生になった姿を先生に見せたい気持ちはあるけど、なんだかまだ、私が制服に着られているみたいで、どうも馴染まない。  大丈夫かな、変じゃないかな。  先生は私たちの制服を見ていたのか、少し黙ってからこう言った。
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