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「いや、まだ三月だから、二人とも身分上はまだ中学生だよ。コスプレになっちゃう」
「コスプレって、ひどくない? えっ、それが最初に言うことなの?」
梓が全部言ってくれたけど、まさかそんなこと言われちゃうなんて。
やっぱり先生は、いつだって私の予想通りのことを言わないね。
「これはある種の照れ隠しだって、高校生ならわかってほしいなぁ。……うん、すごく似合ってる」
梓のツッコミを笑顔で受け流した先生は、ものすごく穏やかな顔になってそう言った。
だけどそのあとすぐに、今度は少し寂しそうな顔をしてこう続けた。
「なんだか一気に大人になった感じ」
「えへへ、そうでしょ。なんたって女子高生だからね」
「うん。それに、急に遠くに行っちゃったって感じ」
それ、本音だよね。
やっぱり寂しいんだ。
「そんなことないよ。これからも、ここには遊びに来るから」
だから私は、とびきりの笑顔でこう言った。
私だって、先生を元気づけてあげたいって思ってるんだから。
「そうそう。そんな寂しがり屋の先生のために、今日は私たちからプレゼントがあるよ。しかも二つも!」
え、なんのこと。
私はそんな話、なにも聞いてない。
梓がなにか用意しているようには見えないけど、何をするんだろう。
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