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「そうだね。それは絶対に守らなきゃいけないルールだから」
そうだったんだ。
きっと先生の連絡先を知りたがる人はいっぱいいるんだろうね。
「まぁいいよ。ここに来ればいいだけの話だし」
「そうそう。そのほうがありがたみもあるっていうか、レア度が増していいじゃない」
私もそう思った。
先生とは今のこの距離感が一番いい。
いつでも会えるわけじゃないけど、会いたいときに会いに行ける。
そう思えるだけで、私の中に一本の柱ができたみたいで、安心できる。
「確か、大学生になったら教えてくれるんでしょ?」
「そうだね。その頃になってもここに来てくれるなら、そのときは何でも話すよ」
ということは、あと三年か。
三年後なんて全然わからない。あっという間なのかな。
だけど、今の先生の口振りが、三年後には私たちはここには来ないって思っているみたいな感じがして、少し引っかかった。
少しずつ私たちは離れていくって思ってるのかもしれないけど、そんなことはないよ。
先生が忘れることなんてできないくらい、私はここに来るつもりなんだから。
「ところで、さっきの話では、もう一つプレゼントがあるみたいなこと言ってなかった?」
私たちが再び建物の中に入ろうとしたとき、先生からこう切り出した。
もう一つは何だろう。
本当に心当たりがない。
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