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「では、二十八日の午後五時三十分からで、お待ちしています。当日は筆記用具だけあれば大丈夫ですので、この受付に顔を出してください」
「わかりました。よろしくお願いします」
そこでお母さんが返事しちゃったら、まるでお母さんが授業を受けにくるみたいじゃない。
なんて、私がすぐに声を出せないのがいけないんだけど。
そんなわけで、あっさりと私の体験入塾の話が決まってしまった。
話を終えて、お母さんに続いて塾を出ようとする。
事務員さんらしき女の人が笑顔で見送ってくれたので、最後くらいは、ちゃんと頭を下げてあいさつをした。
はぁ。
明後日にまた、ここに来るのか。
仕方ないことだとは言え、どうしたって気が重い。
外は気持ちのいい秋晴れだっていうのに、私の心はちっとも晴れやかじゃなかった。
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