あいさつ、あいさつ。

『2021/01/29　20:12
　件名：チョコレート
　送信者：連城孝子
　宛先：菅原一樹

　こんにちは。またメールしてしまってすみません。菅原さんがお忙しいこと、よくわかっているつもりなんですが、どうしてもお話がしたくて。
　もうすぐバレンタインですね。
　菅原さんは、女の子にチョコレートを貰ったことはありますか？とてもカッコいい方でらっしゃるから、きっとたくさんもらったことがあるんでしょうね。ちょっと嫉妬してしまいます。……って、今の時勢、ひょっとしてこれもセクハラになったりしますか？不愉快な思いをさせてしまっていたら、ごめんなさい。

　社内でも、同僚たちが盛り上がっています。なんでも、若い子の間でひそかに“どの人がかっこいいと思うか、こっそり抜け駆けされないか”みたいな話がされているようなのです。チョコレートをあげてしまおうか、なんて童心に返ったように騒いでいる子達もいるくらい。
　もし、ご迷惑でなければ。私も菅原さんに、チョコを渡したいです。
　料理が得意なわけではないのですけど、一生懸命手作りするので受け取って貰えないでしょうか。私の気持ちが本気だってこと、信じて頂きたいのです。

　あなたのことが、初めて出逢った時から気になってました。
　そして先日助けて頂いた時、どうしようもない胸の高鳴りに気づいたのです。生まれて初めて、これが本気の恋だと気づきました。あなたこそ、私の運命の人だったんだって。
　お返事、待っています。
　また、こちらからも連絡しますね。』