愛してたのに。

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 夜の公園、噴水前。私と手を繋いでいる彼が、急に立ち止まる。バランスを崩して転びそうになったところを、彼の腕によって抱き止められた。 「話があるんだ」  いつになく真剣な声で言うから、私は訝しく思った。そして思い出した。ここは、二年前に彼から告白され、交際が始まった場所だ。 「うん。なに?」  私は彼からそっと離れ、向き合うようにして立った。急に緊張してきて、体がこわばっていく感じがした。 「僕と、結婚してください」  彼が小箱をポケットから取り出す。中から現れたのは指輪だ。  私の目から涙がこぼれた。 「嬉しい。ありがとう。私でよければ、ぜひよろしくおねがいします」  ほっとしたように笑う彼を見て、「今までずっと我慢してきたことを言ってもいいかもしれない」と気が緩んだ。 「でも、結婚前にあなたの全てを知りたい。私、元カレに浮気されてたのがトラウマで、秘密が怖いの。結婚して家族になるなら、なおさらそういう不安をなくしておきたいんだ」
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