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「母さん以外で真昼兄さんのバレーに口出しした人、初めてかもしれません」
「母さんに怒られるわピィちゃんに軽蔑されるわ、真昼は踏んだり蹴ったりだねぇ」
グサグサグサッ。
致命傷を負わされ、あたしはゴキブリのごとく床に這いつくばった。
「あんな偉そうなこと言っちゃって、あたしも一応後悔してるんですよ。ただの家政婦なのに何様だよって恥ずかしくなりました。でも真昼に謝るかって聞かれたらそれは絶対に嫌で。だってどう考えてもあんな言い方間違ってるじゃないですか。どんなにムカついたって頑張っていた人に対して『下手くそは嫌い』って切り捨てるなんてひどいじゃないですか」
溢れ出てくる言葉をどろどろと吐き出しながら、額をおさえてうつむく。
こんな「でもでもだって」の堂々巡りがなんの意味もなさないことは自分でもよくわかっていた。
「ピィちゃん、そんなに気にやまなくても大丈夫だよ」
ベッドでうつぶせになって将棋の本を開いていた旭さんが口元を軽く押さえてくすくす笑う。
「真昼は昔からああなんだ。インコのピィちゃんはかわいがるあまり死なせちゃうし、バレーが好きで勝ちたいから同じレベルに立てない仲間に熱くなりすぎてしまう。好きなら大切にすればいいのに、あいつは『好き』を振りかざすことしかできないんだよ」
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