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「どうするの?」
「どうするって、ここしかあいてないんだから泊まるしかないだろ」
「……一ミリでも手ぇ出したらブッコロスから!」
「だっ、出すわけないだろ手なんか! 俺はバスルームで寝るから、ピィ子はベッド使え」
それから、あたしたちは交互にシャワーを浴びた。あたしの後に入るとき、真昼は一緒に毛布を持っていった。そして、バスルームに入ったきり出てこなくなってしまった。どうやらバスルームで寝ると宣言していたのは本気だったらしい。
ひとりで寝るにはあまりにも大きすぎるベッドに横になり、あたしはバスルームに背を向けた。
そちらからは物音ひとつしない。だからあたしも動いたり物音をたてたりしたら負けな気がした。
何もしないで過ごす夜というのは想像以上に長く、壁にかけてある時計はさっきからちっとも進まない。秒針がその場で足踏みしているのではないかと思えるくらいに。
そんな中でも、悲しいかな、図太いあたしは眠れてしまう。
ふっと気づいて次に時計を見上げたときには日付が変わってしばらく経っていた。かれこれ六時間は眠っていた計算になる。
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