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ちょうど台風が通過しているらしい。窓の外からは激しい雨風の音が聞こえた。
目が冴えてしまい、ふと、バスルームで眠っている真昼のことを思い出した。
身長百八十センチの真昼には、ユニットバスの浴槽は狭すぎるだろう。あたしは十分に寝たしベッドを交代したほうがいいかもしれない。
バスルームの電気はついている。そっとドアを開けてのぞきこむと、真昼は空っぽの浴槽の中に寝転んで足を浴槽のふちにかけていた。やっぱり窮屈そうだ。
「真昼、ベッドかわるよ。狭いから眠れないでしょ?」
「起きてるのは別に狭いからじゃない」
真昼は腹筋だけで器用に起き上がった。浴槽のふちに頬杖をつき、ぷいっとそっぽを向いてしまう。
「まともな男が、好きな女子と同じ部屋で一晩過ごしてるのに寝られるわけないだろ」
その言葉に、かすかに残っていた眠気が吹っ飛んだ。
「変な言い方しないでよ。ていうかあんた、あたしのこと嫌いって言ったじゃん」
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