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六人は震え上がって「ひえ~」と甲高い声をあげ、おのおの頭を抱えたり隣の人の肩をさすったりしていた。
確かに真昼が他人を励ますなんて、珍しいを通り越してもはやホラーだ。
『でも待って。真昼がチームメイトを鼓舞したことを、なんで関係ないあたしに報告するのよ』
背の高い男子がその大きな図体に似合わないかわいらしい仕草でこてんと首をかしげる。
『だって真鍋んちの家政婦なんだろ?』
隣の男子も頷く。
『そうそう。あの真鍋と対等にコミュニケーションとれるのなんて高橋さんくらいだし』
確かにあの台風の日を境にしてあたしと真昼は仲良くなった。いや、仲良くなったというと語弊があるか。
あたしたちは思ったことを腹の中にためておけないという点において似たもの同士で、さらに言えばそれをぶつけあっても傷つかない程度に頑丈だ。お互いそのことに気づいたのだ。
しかし、それはまわりの人たちが思っているような良好な関係ではない。
あたしと真昼の間のコミュニケーションはたとえるならバレーボールであり、キャッチボールではないのだから。
『あのねぇ、あんたら家政婦をなんだと思ってんの。ベビーシッターじゃないんだからね』
果たして正しく伝わっているのか、大男たちは順番にあたしの肩を叩いていった。
『引き続き真鍋のこと、ヨ・ロ・シ・ク』
そんなの絶対にごめんだ!
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