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「あたし、犯人探すことにしたから。役降りろって言うのならそいつに役をかわらせてやる」
「ええっ!」
「カーディガンも犯人に弁償させる。絶対詫びいれさせるから好きなの選んで待っててね!」
その勢いのまま駆け出そうとしたら、夕仁くんに手首を掴まれた。
「先輩、待ってください!」
「なに?」
「僕も一緒に探します。ひとりだと心配だし、かといって真昼兄さんに相談でもしたら犯人をボコボコにしちゃいそうだから」
「ひとりでも大丈夫だよ。そんなに心配しないで」
夕仁くんの顔を見てから、違うな、とあたしは思った。夕仁くんの目は好奇心できらきらと輝いていたのだ。
「それに僕、犯人探しなんてしたことないです。人生経験のためにぜひお供させてください!」
あたしは彼に聞こえないようにそっとため息をついた。そういうことだと思ったよ。
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