第2ラウンド VS夕仁

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 ホットプレートの脇のお皿には、床に落ちて潰れたお好み焼き、真っ黒焦げのお好み焼き、小麦粉と片栗粉を間違えてとんでもない形状になっているお好み焼きの三種類が乗っている。とてもじゃないがどれも食べられたものではない。ちなみにこれらは三兄弟が作ったものだ。 「よし、ピィちゃんのやってるところを見て覚えたから次はおれがひっくり返すよ」  旭さんが腕まくりを始めると、右隣の真昼がそれを押しとどめた。 「そう言ってさっきも床まで吹っ飛ばしただろ。これ以上具材を無駄にするな! 俺がやる」 「真昼兄さんだって、危うく家を燃やすところだったでしょうが。おとなしく僕にまかせて」 「小麦粉と片栗粉を間違えた人に言われたくないよねぇ」  三人がぎゃーぎゃーと兄弟げんかしているうちにもう一度ひっくり返し、三等分に取り分ける。ソース、マヨネーズ、鰹節などを盛り付けて完成だ。  ソースのあまじょっぱいにおいには勝てないのか三人はすぐにおとなしくなった。 「……違う」  旭さんと夕仁くんはすぐに食べ始めたが、真昼はお好み焼きを前にして難しい顔になった。 「え? おいしくない?」  次の生地をかきまぜる手が思わず止まる。真昼の嫌いな食材は何も入っていないはずだが。
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