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「いや、おいしいですよ、ピィ先輩」
「そうそう。それにまだ真昼は一口も食べていないしね」
「違う!」
真昼は勢いよく立ち上がった。
「何が違うっていうわけ? 広島風がよかったってこと? 買い出しの段階で言ってよね」
「俺はピィ子と一緒にお好み焼きパーティーがしたかった。だからピィ子も食べるべきだ」
「いや、あたしは仕事中なので結構です」
「そんなこと言うなって」
「ふがっ」
真昼によってアツアツのお好み焼きを口の中に突っ込まれた。
こんな一昔前のバラエティみたいな仕打ちが家政婦の仕事だというのか。じんじんと痛む唇をおさえながら、あたしは世知辛い世の中を呪った。
一方、真昼はあたしがお好み焼きを食べたことでたいへんご機嫌である。
そんなあたしと真昼の間に、旭さんが割って入ってきた。
「第二回ピィちゃんバトル! 今回は、勝った人がピィちゃんと一緒に後夜祭を過ごせます」
だから、人を勝手に景品にするなっつーの。
「後夜祭って青春ものの絶対条件ですよね。人生経験として絶対に勝ち取らなくちゃ!」
夕仁くんがピュアな瞳でそう言ってお好み焼きにかじりつくが、いかんせん口が小さいのでちっとも減っていない。
その脇ですでにお好み焼きを食べ終えていた真昼がテーブルを叩いた。
「ふざけんな! ピィ子は文化祭の最初から最後まで俺と過ごすって決まってるんだよ」
景品の意思は何一つ聞き入れられることなく、第二回ピィちゃんバトルとやらが始まった。
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