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第二回ピィちゃんバトルの内容は単純だ。文化祭までの三週間で最もあたしと長く過ごした人があたしと後夜祭を一緒に過ごす権利を得られるのだという。
ちなみに同じクラスというアドバンテージを持つ真昼との公平性を保つために、授業時間はカウントしない。
アホくさ。こんなの相手にするだけ無駄だ。
あたしは次の生地をホットプレートに流し入れた。無視を決めこもうとしたが、旭さんにヘラを奪われる。
渋々顔を上げると、旭さんはペットのケージを覗くような温かい目であたしを眺めていた。
「ピィちゃん、お寿司食べたくない? まわらないやつ」
じゅるりと音が聞こえた。もちろんあたしの口からだ。
「まわらないお寿司……」
「うん、おれのおごりだよ。だから今度の週末、デートしようよ?」
「経済力でピィ子を殴るようなまねするな! ピィ子も食い意地に流されるな!」
真昼が旭さんの手からヘラを奪い取ってあたしの手に戻し、お好み焼きをひっくり返すようジェスチャーであたしに促した。なんだかんだお好み焼きが気に入ったようだ。
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