第2ラウンド VS夕仁

21/71
前へ
/253ページ
次へ
「うん行ってみよう。それにしてもすごいよ夕仁くん。名探偵みたい!」  あたしがそう褒めると、夕仁くんはハッと我に返って赤面した。声が元に戻る。 「す、すみません。なんか僕、また演技のスイッチ入っちゃったみたいで」  そういえば、最初に交際を申しこまれたときもそれからさっきも、パチンという音が聞こえてきたっけ。  どうやら夕仁くんには演技に入る前に爪を弾く癖があるみたいだ。 「ところで先輩」  夕仁くんが晴れやかな笑みを浮かべた。 「休日に一緒に出かけるのはデートです。だとしたら、これもバトルに加算されますよね?」  そのハキハキとした口調にあたしは思わず額をおさえる。やられた。夕仁くんはここまで計算して、今、この話題を出してきたのだ。  ピュアでしっかりものの弟属性に見えて、やっぱり夕仁くんは食えない人だった。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

122人が本棚に入れています
本棚に追加