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「うん行ってみよう。それにしてもすごいよ夕仁くん。名探偵みたい!」
あたしがそう褒めると、夕仁くんはハッと我に返って赤面した。声が元に戻る。
「す、すみません。なんか僕、また演技のスイッチ入っちゃったみたいで」
そういえば、最初に交際を申しこまれたときもそれからさっきも、パチンという音が聞こえてきたっけ。
どうやら夕仁くんには演技に入る前に爪を弾く癖があるみたいだ。
「ところで先輩」
夕仁くんが晴れやかな笑みを浮かべた。
「休日に一緒に出かけるのはデートです。だとしたら、これもバトルに加算されますよね?」
そのハキハキとした口調にあたしは思わず額をおさえる。やられた。夕仁くんはここまで計算して、今、この話題を出してきたのだ。
ピュアでしっかりものの弟属性に見えて、やっぱり夕仁くんは食えない人だった。
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