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一階の渡り廊下まで来てあたしは足を止める。真昼が追ってくる気配はない。
ホッとして歩き出したら、開いている窓から風がふきこみ、目をあけていられなくなった。どうやら砂埃が入ってしまったようだ。
目をこすりながら歩いていると、右足が何かにつまずいた。そのまま足元をすくいあげられ、顔から床にダイブするはめになる。
「ふぎゃっ」
おでこが床にすれて燃えるように熱い。マッチ棒の気持ちが初めてわかった気がした。
「あーら、足が長くてごめんあそばせ」
聞き覚えのあるイヤミな声が頭上から降ってきて、あたしは飛び起きた。
やっぱり例の三人組だった。わざとらしくその長い脚をぶらぶらさせるリーダー格の一川さんの後ろで、とりまきの二科さんと三好さんが高笑いしている。
「高橋さん、あなた、学園中の女子から嫌われてもこりないのね」
「あいにく友達はちゃんといるし、一川さんたちに好かれてもバイト代は出ないんでね」
「家政婦だけならまだしも、劇で真昼さまの相手役までやるなんて調子乗りすぎじゃない?」
「じゃあ三人の誰かがあたしとかわる? あたしはそれでもいいけど」
三人はグッと言葉に詰まった。真昼の相手役の女子は許せないが、自分がやってまわりからの反感を買うのは嫌なようだ。
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