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あたしはそのまま立ち去ろうとしたが、一川さんはなおも言葉を投げつけてきた。
「真昼さまに貝殻のブラジャーつけさせるなんて、何されても文句言えないからね!」
あたしはピタッと足を止めて、半分だけ振り返った。
「この前カーディガンを汚したのって一川さんたちなの?」
彼女たちは顔を見合わせて、それを鼻で笑った。
「どうしてわたしたちが高橋さんの臭そうなカーディガンに触らないといけないわけ?」
しらばっくれているのか、はたまた本当にやっていないのか、その一言からではうかがえない。あたしは追求しようと彼女たちに向き直った。
その時だった。
「ピーィ子っ」
背後からいきなりタックルのような勢いで抱きつかれてあたしはたたらを踏んだ。女子たち三人が真っ青な顔で口元をおさえる。
「真昼さまっ。あの、違うんです、わたしたちは別に嫌がらせなんかっ」
タックルしてきたアメフト選手、もとい、真昼はあたしたちを順番に見てぺかーっと笑う。
「おう。何もない廊下でひとりで勝手に転んでたピィ子を助け起こそうとしてたんだろ。だってお前ら、ピィ子の友達だもんな!」
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