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「とっておいて真昼が怪我したときに使いなよ。くれた女子もそれを望んでると思う」
「俺のポケットの中でゴミになってるより使われたほうが嬉しいだろ」
「……なんか最近妙に優しいらしいね。どういう風の吹き回しなわけ?」
真昼は絆創膏の包装紙をむいて無理やりあたしの額に貼った。ガーゼ部分がすりむいたところからズレているし、テープ同士がくっついて歪んでしまっていたが、真昼は満足げに頷いた。
「旭が言ってたんだ。好きな子から好かれたいなら、好きな子以外にもちゃんと優しくしなきゃダメだって」
額の、テープが歪んだ部分を指先でなぞる。
女子たちの告白を聞くようになったことといい、部活のみんなをフォローするようになったことといい、自己中で横暴な神様・俺様・真昼様なりに、真昼は変わりつつあるのかもしれない。
「そうだね。あたしも前よりそっちの真昼のほうがいいと思う」
「じゃあこのままいったらいつ頃俺のこと好きになりそう?」
「いやそれは話が別でしょ。絶対に好きにはならないから」
「ほかの人に優しくしてても?」
「ほかの人に優しくしてても」
「傷の手当しても?」
「傷の手当てしてもらっても」
「明日の掃除当番変わってあげても?」
「それはちょっとグラッときちゃうかも……てそんなわけないでしょ!」
真昼が声をあげて笑った。
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