第2ラウンド VS夕仁

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 それからあたしたちは駅前の商店街の靴屋さんに向かった。二十五センチ以上の上履きを買った女子生徒の記録を得るためだ。  しかしそれは徒労に終わった。顧客の個人情報は明かせないらしい。  結局何も手がかりが得られないままお昼になり、小腹もすいたのであたしたちは駅前でお茶をすることにした。 「あそこでいいですか?」  夕仁くんが指さした建物を見た瞬間、あたしの表情筋が凍りついた。  そこにあったのは全国チェーンのコーヒーショップだ。あたしも名前ぐらいは知っている。ただし、入ったことはない。貧乏高校生が買うにはどのドリンクも高すぎるのだ。  あたしはお財布の中身を必死で思い浮かべる。  先ほどのアクシデントでスニーカーを買ってしまったからあまり持ち合わせがない。確か、百円玉が五枚と十円玉が何枚かは入っていたと思う。このコーヒーショップの一番安いドリンクは、それで足りるだろうか。 「顔色悪いけど大丈夫ですか? ちょっと休憩しましょう?」  夕仁くんが顔を覗きこんでくる。 「やっぱり向こうにしない?」  あたしは道路をはさんで向かいのビルの喫茶店を指さした。あそこに激安ケーキセットのメニューがあるのは有名な話だ。  しかし、夕仁くんは首を横に振った。 「あそこのコーヒーあんまりおいしくないんですよね」  これだからちょっと育ちのいいお坊ちゃんは!
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