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でもそう言われたら何も言えない。
いくら銭ゲバとはいえあたしにも女子高生としてのプライドってもんがある。「お金がないから安いところにしてほしい」とお願いするのはなんだか情けなくて恥ずかしかった。
結局、あたしと夕仁くんはそのコーヒーショップに入った。土曜日だからか、店内は若い人たちで混雑している。
「なんか混んでますね、僕買ってくるので、ピィ先輩席とっといてくれますか? 何飲みます?」
「あたしここ来たことないからメニューわかんなくて」
「どうしても苦手なものだけ言ってくれれば、テキトーに買ってきますよ」
苦手なものはないと夕仁くんに告げ、あたしはあいていた窓際のテーブル席に座った。
少し経って夕仁くんがドリンクを持って戻ってくる。
「いくらだった?」
「おごりますよ。聞きこみしようって言って先輩を連れ回したのは僕ですし」
「いやいやそういうわけにはいかないです!」
夕仁くんがあたしに買ってきてくれたのはクリームがのった抹茶ドリンクだ。振り返り、メニュー板を見て値段を確認する。
五百三十円。よかった、ギリギリ足りそうだ。
お財布から百円玉五枚と十円玉三枚を取り出して夕仁くんの前に差し出すと、彼は不思議そうな顔でお金を二度見した。
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