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「別に兄さんが心配してるようなことじゃないよ。ちょっと用事があっただけなんだ」
夕仁くんが助け舟を出してくれた。
三人から否定されて、真昼がむすーっと上唇を尖らせる。
「またふたりで内緒話かよ。面白くないな」
「真昼くん……あの、行こう?」
あやちゃんが控えめにもう一度声をかけると、真昼はあっさりと立ち上がった。
その不機嫌そうな後ろ姿がコーヒーショップを出ていくまであたしはずっとそっぽを向いていた。
真昼こそどうしてあやちゃんと一緒にいるのだろう。今日は午前中、部活だったはずだ。じゃあ部活のあとにデートということになる。
どっちから誘ったのだろうか。それは、人に優しくするっていう真昼のキャンペーンの一環なのだろうか。それともそれ以上の意味合いが?
でも、「真昼には関係ない」と言った以上、あたしのほうからそれを尋ねることはどうしたってできなかった。
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