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「お好み焼きパーティーとか劇の練習なんか誘ってはしゃいでた俺ってなんなんだ? のんきだと思ってた?」
「でも言ったら真昼は犯人探しに加わるって言うじゃん」
「当たり前だろ。ピィ子を傷つけるやつなんか許さない」
「だから言いたくなかったんだってば。関係ない人を巻きこみたくなかったの」
関係ない。
その言葉は思っていた以上に冷たく響いた。
「そうかよ。関係ないのに首つっこんで悪かったな」
真昼が目を伏せる。
「でも、傷ついてるときに頼る候補にすらあげてもらえないのは、さすがにちょっとクる」
真昼は低くうなるように言うと、リビングを走って出て行った。
ふと目に入ったリビングのアナログ時計がこちっと音をたてて動く。ちょうど七時三十八分から三十九分になったところだ。重なっていたふたつの針がズレ、長針が短針を追い越していく。
あたしは泡だらけの手のまましゃがみこんだ。
どうしてあたしたちはいつもこんなふうにケンカになってしまうのだろう。どうしてそのことがこんなにモヤモヤするのだろう。最初は真昼に嫌われることが目的だったはずなのに。
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