第2ラウンド VS夕仁

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 それは単純明快な方法だった。  犯人は神出鬼没だが犯行に及ぶのは必ず朝だ。だから早朝に四人で張りこんで、人海戦術で犯人を見つけようというのだ。  担当は、あたしが靴箱前、二科さんが教室、三好さんが掲示板前、一川さんが校内全体の見回りである。  もちろん、彼女たちは嫌がらせのプロフェッショナルなのでただの張りこみでは終わらない。  特に嫌がらせの多い机の中、ロッカー、掲示板前、靴箱の四ヶ所には、物理実験部を恐喝して……ゲフンゲフン、訂正、『お願い』して作ってもらった人感センサー付スピーカーが取りつけてある。  もし犯人がこれらの場所に何かしようとした場合、暴れん坊将軍の殺陣のテーマがものすごい音量で流れることになるだろう。  さすが、本物のいじめっこが考えるやり返しの手段は拍手したくなるくらい姑息だ。  作戦は翌日に決行された。  昇降口にはまだ部活の朝練組すら来ていない。事務員さんが昇降口の鍵を開けた瞬間に入ったから正真正銘あたしたちが一番乗りだ。各自持ち場に向かった一川さんたちからの報告はまだない。  つまり犯人はこれから今日の嫌がらせを仕掛けるということだ。
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