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「でもあやちゃん、あたしの味方してくれてたじゃん……」
「あんなの嘘だよ。だって、わたし、ことりちゃんのこと嫌いだもん」
嫌い、という言葉が胸にずんと響く。
「友達が好きな人の家で家政婦をすることになったわたしの気持ちがわかる? 気づいたら好きな人がその子のこと好きになってたわたしの気持ちが。わたしは中学から真昼くんだけ見つめてきたのに、なんで真昼くんが好きなのはことりちゃんなの?」
「そんなの」
あやちゃんが開けっ放しだった靴箱のとびらを勢いよくしめて、言いかけたあたしの言葉を遮った。暴れん坊将軍のテーマがやむ。
「真昼くんにチクればいいでしょ」
「チクらないよ。あいつにそんなこと言ったところで何になるっていうの」
「優越感でも感じてればいいじゃん」
その瞬間、あたしの内側で何かがブチッと切れる音がした。
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