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堪忍袋の緒だと気づいた瞬間にはあやちゃんの手から上履きをひったくっていた。そのつま先をあやちゃんの鼻先につきつける。
あやちゃんが少しのけぞる。
「なめないで。さすがにそこまで腐ってない!」
あたしは上履きを履き、つま先をトントンと床に打ちつけてならす。もうあやちゃんのほうは見ない。
そのままあたしは歩き出した。一川さんたちにこの作戦の終わりを告げなければならないからだった。
歩きながら、吐き気のように後悔がこみあげてきてあたしは廊下の壁に手をついた。
嫌がらせを沈静させるどころかガソリンをまいて着火してしまったようなものじゃないか。
目の前でごうごうと燃えている炎は、ちょっと水をかけたくらいじゃおさまりそうもない。今から謝りにいったところで解決しないだろう。
あたしってどうしていつもこうなんだ!
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