第2ラウンド VS夕仁

55/71
前へ
/253ページ
次へ
***  あたしは指の隙間からホラー映画を覗き見るようにそっと靴箱を開けた。  上履きが入っている。今日でもう二日連続だ。  あれからあやちゃんは夕仁くんにカーディガンを弁償した。夕仁くんはあたしの友達が犯人だったと聞くと心底驚いていた。  嫌がらせはやんだがそのかわりあやちゃんは目も合わせてくれなくなり、あたしから離れて別の体育会系女子のグループに移っていった。  もうすべて終わったのかもしれない。あたしは腰に手をおき、伸びをするようにして昇降口を見渡す。  細長い折り紙の輪っかをつなげた飾りが吹き抜けの二階の手すりにつけられ、その下には「WELCOME」という横断幕が掲げられている。昇降口を出たところにはリサイクルペットボトルでできたアーチと受付のテーブルが置かれていた。 今日は、待ちに待った文化祭だ。楽しまなくちゃ。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

122人が本棚に入れています
本棚に追加