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真昼はなんともないと言ったが、バレー部でもある実行委員にクラス演劇に出るのを強く止められ、保健室に運ばれた。
明日に春高の予選を控えていることもあり、先生がすぐさま病院に連れて行ってくれることになったそうだ。
そのアクシデントに、クラス中大騒ぎだった。問題は、誰が真昼のかわりに人魚姫を演じるかである。
端役と違って人魚姫はセリフが多い。長ゼリフもあるし、掛け合いもある。
合同練習はバレー部の真昼を気遣って最低限しかやっていなかったので誰も人魚姫のセリフを覚えている人はいない。脚本を書いた演劇部の子は部でも脚本の担当なので演じるほうは未経験。おまけにあがり症だから人前には立てないという。
クラスの中でできそうな人はいなかった。
「誰か他のクラスでもいい。代役をやれそうな人を知らないか?」
実行委員がやけになってそんなことを言い始める。でも確かに、この状況では二年二組にこだわっている場合ではない。
誰か、演技の経験がある、引き受けてくれそうな人……。
「そうだ! 夕仁くん!」
あたしの言葉にクラス中が振り返った。
「真昼の弟はどう? 彼ならなんとかしてくれるかも」
「お願い、高橋さん、連絡とってみてくれない?」
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