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劇は大成功に終わった。
夕仁くんはあの短時間でセリフをばっちり覚えていたし、あたしのセリフが詰まったところもアドリブでつないでくれた。どっちが代役なのか、はたから見ている人にはわからなかったと思う。
クラスのみんなは喜んでいたけれど、あたしは浮かない気分だった。劇が終わって着替えてからもあたしはずっとひとりでその空き教室にとどまっていた。
文化祭の一般開放の時間が終わると、みんながばらばらと校庭に集まり始めるのが空き教室の窓から見えた。後夜祭が始まるのだ。
うちの学校の後夜祭は、文化祭に使ったものを校庭に集めて燃やしてキャンプファイヤーをするというものである。
木でできたハリボテのセット、喫茶店の紙コップや割り箸のゴミ、校内を彩っていた折り紙の輪っかが校庭の真ん中に集められていく。
けれども、あたしはその集団に混ざろうとは思えなかった。とてもそんな気分じゃなかった。
真昼の怪我はどんな具合なのだろう。捻挫? 骨折? 痛がっていたから無傷ではないはずだ。
明日の大会はどうなっちゃうのだろう。利き手じゃないとはいえ影響は小さくないに違いない。
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