第2ラウンド VS夕仁

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「真昼くん!」  誰かが後ろからやってきて、あたしを追い抜いた。真昼が目をあける。 「おう、木下とピィ子じゃん。よくここがわかったな」 「わたしはことりちゃんのあとをつけてきたから。それより、怪我の具合は?」  真昼は寝転んだまま左手首を夕日にかざした。真っ白な包帯でぐるぐる巻きにされていて痛々しい。心臓がどくんと大きく鼓動する。 「ちょっとした打撲。医者が大げさに巻きやがった」  真昼は歯を見せてニッと笑った。 「真昼くん、明日の大会はどうなるの?」 「明日の状態次第だけど、医者は別に構わないって。監督さえ許してくれれば出るつもりだ」 「ごめんなさい」 「なんで木下が謝るんだ?」  あやちゃんはあたしをちらりと見て息を詰める。空気を読んで立ち去ろうとすると、あやちゃんはあたしのブレザーの裾を掴んだ。  一瞬、あやちゃんと目が合う。あやちゃんは涙を流しているのに微笑んでいた。 「お願い。いてよ、ことりちゃん」  あやちゃんがその場に膝をつき、コンクリートの地面に額をつける勢いで頭を下げた。
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