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「大道具を倒したのも、ことりちゃんに嫌がらせしたのも、ことりちゃんと夕仁さまが付き合ってるっていう嘘の噂を真昼くんに伝えたのも、全部わたしです。本当にごめんなさい」
「はあ!?」
真昼がこぶしをぐっと握って起き上がる。
ぶん殴るんじゃないかと思ってあたしはヒヤヒヤしたが、真昼はそのまま両手を後ろについて天を仰いだ。
「なんで……」
「それはそんな馬鹿なことをした理由? それとものこのこ謝りにきた理由?」
あやちゃんは引き伸ばしたカーディガンの袖でぐずぐずになった目元を乱暴に拭い、顔を上げた。きっと逃げ出してしまいたいはずなのに、まっすぐに真昼のことを見ていた。
「好きだから」
拭ったばかりだというのに、あやちゃんの目からは大粒の涙が次から次へと溢れる。
「真昼くんが好きだからことりちゃんのこと許せなかった。だけどわたし、真昼くんと同じくらい真昼くんのバレーが好き。あなたの大事な手首に怪我をさせてしまった自分が一番許せない。大変なことをしてしまったって思った。ふたりとも、ごめんなさい」
それだけ言うと、あやちゃんは立ち上がった。
「許してもらおうとは思ってないから」
あやちゃんはもう一度小さく謝ると、ふらふらと屋上を出ていった。
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